ブータン王国の保健システムとICTを活用した全国的な保健医療人材の遠隔現任研修体制整備
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- 渡部 晃三
- 独立行政法人国際協力機構
書誌事項
- タイトル別名
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- The health systems of the Kingdom of Bhutan and the development of a nationwide distance in-service training system for health human resources using ICT
抄録
<p>緒言</p><p> 現任研修は、保健医療人材が提供するサービスの質向上と、現場で働く人材のインセンティブとして役立つ。保健医療人材への現任研修には、政策を担う保健省、高等教育機関の医科大学、教育病院等の複数機関に跨る取組みが必要である。</p><p> ブータン王国(以下ブータン)では、2020年以降のCOVID-19パンデミックの中で医科大学が約2年間にわたり情報通信技術(Information and Communication Technology、以下ICT)を活用する全国的な遠隔現任研修実施を可能にする体制整備を行った。先行研究によると、低中所得国の人材や財源等のリソース不足の環境下で現任研修へのICTの活用には利点があることが報告されている。</p><p> 2023年1月、保健省と医科大学等が、全国の保健医療人材の現任研修を協力・連携して行う覚書(Memorandum of Understanding, MOU)を締結した。保健医療人材への研修を、従来は保健省と医科大学の両者が実施していたが、保健省は人材政策、研修実施は医科大学と、役割が整理された。</p><p> 本稿では、まず、ブータンの保健システムを概観する。次いで、保健医療リソースに限りのある低中所得国において、保健医療人材への遠隔現任研修を、ICTを用いて中央と地方の保健医療機関を繋ぎ、全国的に行なう体制整備の事例として、ブータンの取組みを明らかにする。</p><p>方法</p><p> 参与観察及び保健省、医科大学、JICA関係者へのオンラインインタビュー並びに関係機関の公式発表と報道記事の文献調査を実施した。調査期間は、2019年6月から2023年7月までである。</p><p>結果</p><p> 医科大学及び国内2か所の地域レファラル病院(教育病院)のICT環境が整備され、医学教育シミュレーションセンターが開設された。医科大学での遠隔現任研修体制の整備として、教育設備やラーニング・マネジメント・システムの導入、指導者研修(TOT)、遠隔現任研修コンテンツ開発が行われた。加えて、保健省、医科大学等の間で現任研修のための覚書が締結された。</p><p>結論</p><p> ブータンでは、保健人材育成の専門機関である医科大学がICTを活用した遠隔教育体制を整備し、保健省等との覚書による全国的な遠隔現任研修の実施体制が形成された。低中所得国では限られたリソースで現任研修を実施する必要があり、今後現任研修体制を機能させるには、人材・予算・情報等に関し、保健省、医科大学、教育病院等関係機関の連携が欠かせない。</p>
収録刊行物
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- 国際保健医療
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国際保健医療 38 (4), 203-214, 2023
日本国際保健医療学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390861482681617408
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- ISSN
- 24367559
- 09176543
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可