膵臓がん治療の最前線~早期発見と最新の治療~

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抄録

<p>膵臓がんは最も治療成績の悪いがんのひとつと考えられている。早期診断が難しく,容易に進展転移するため,およそ半分の患者さんが切除できない段階で発見される。また,うまく切除できたとしても高率に再発する。その手術は難易度が高く高度な技術を必要とする。しかし,手術治療単独での長期生存率は決して高くない。現在は術前術後補助化学療法に手術治療を組み合わせた集学的治療が中心になり,良好な成績をおさめている。<br>一方,根治切除ができない膵臓がんに対しては化学療法が選択される。FOLFIRINOX療法やGnP療法などの有効なレジメンの出現に伴い,化学療法の成績が向上し切除可能となる患者さんが増えてきている。そのような患者さんに対して現在手術適応が拡がっており,Conversion surgeryと言われている。Conversion surgeryにより,今まで長期生存が見込めなかった患者も,長期生存できる可能性が高まり期待されている。<br>膵臓がんの早期発見に向けて,地域の医師との連携が重要である。近年,膵臓がんの早期診断を目指して,地域医療連携を生かした報告が散見される。その先駆けとして広島県尾道市医師会の取り組みが有名である。地域連携施設で膵臓がんの危険因子を複数有する患者さんに腹部超音波検査を行い,膵管拡張や膵嚢胞が描出されたときは中核病院へ紹介し精査し,膵臓がんを早期に発見する,という方法である。この取り組みにより,膵臓がんの早期発見率が向上し,生存率が改善している。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861559985673344
  • DOI
    10.11434/kyorinmed.54.209
  • ISSN
    1349886X
    03685829
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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