ちょっとずつ寄りかかりあう景観

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タイトル別名
  • Landscape of Generatively Chained Reliance
  • Architecture, Urban Design, and Terrace Farming on Sado Island, Japan
  • 建築、都市デザイン、佐渡の棚田農業を巡って

抄録

<p>本稿は、建築家、都市デザイナー、並びに農業者を空間や作物等を「つくる存在」として並置し、景観「の中に」いる「つくる存在」としての彼らの空間および物理的環境への働きかけを詳述する。その試みは、景観形成に関わる非人間を含む様々な存在が、他者の持つ(広義の)能力、システム、インフラストラクチャー等に計らずも「ちょっとずつ寄りかかりあう」構造を浮かび上がらせる。本稿はまず、景観への関心が高まりを見せる1960年代から出発し、建築家および都市デザイナーの景観に対する態度の移り変わりを再訪する。景観形成の躍動における自身の不在に対する気づきによって、彼らが合理主義とは一線を画した景観を巡る実践的理論および方法論の構築へと向かう様子を詳らかにする。続いて、佐渡の棚田における環境共生型農業の事例に目を向ける。激減するトキの保護活動から昨今の環境共生型農業に至るまでの農業者と棚田景観の関係を吟味し、環境共生型農業の実践によって「ちょっとずつ寄りかかりあう」構造が生み出される実態へと接近する。それは、「ちょっとずつ寄りかかりあう」構造における建築家・都市デザイナーおよび農業者が、並行しつつも景観を巡って類似の境遇にあることを浮かび上がらせる。本稿は、「ちょっとずつ寄りかかりあう」構造の生成的な営みそれ自体が、景観形成のダイナミズムになっている様相を描く。</p>

収録刊行物

  • 文化人類学

    文化人類学 88 (2), 327-348, 2023-09-30

    日本文化人類学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861571065154304
  • DOI
    10.14890/jjcanth.88.2_327
  • ISSN
    24240516
    13490648
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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