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- 高浦 加奈
- ジェンマブ株式会社 メディカルアフェアーズ部
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- 安藤 博司
- ジェンマブ株式会社 メディカルアフェアーズ部
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- Ganoza Edward Ramirez
- ジェンマブ株式会社 メディカルアフェアーズ部
書誌事項
- タイトル別名
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- Pharmacological characteristics and clinical outcomes of Epcoritamab (recombinant) (Epkinly<sup>®</sup> subcutaneous injection ) for malignant lymphoma
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説明
<p>B細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)の転帰は抗CD20抗体併用化学療法により改善したが再発も多く認められ,未だアンメットニーズが高く新たな治療法が求められている.エプコリタマブ(遺伝子組換え)は,T細胞表面のCD3及びB細胞又は腫瘍表面のCD20に特異的に結合するヒト化免疫グロブリンG1二重特異性抗体であり,CD20陽性B細胞に対してT細胞を介した細胞傷害作用を誘導する.細胞傷害作用はCD3とCD20への同時結合により誘導され,濃度依存的であり,ヒト化マウスを用いたB細胞リンパ腫細胞株由来異種移植モデル及び患者由来異種移植片モデル,カニクイザルにおいて,一貫した殺細胞活性が認められた.カニクイザルでの薬理試験ではサイトカインの最高血漿中濃度は静脈内投与と比較して皮下投与で低値であった.サイトカイン放出症候群(CRS)のリスク軽減及び利便性向上の観点から,皮下投与製剤として開発が進められた.臨床試験ではCRSのリスク軽減のため,段階的に増量するプライミングドーズと中間ドーズが設定された.再発性,進行性又は難治性のB-NHL患者を対象とした海外第Ⅰ相用量漸増パートでの安全性,有効性及び薬物動態モデルのシミュレーション結果から,第Ⅱ相試験推奨用量が決定された.第Ⅱ相用量拡大パートで推奨用量におけるエプコリタマブ単剤療法の有効性と忍容性が示された.再発又は難治性のB-NHL患者を対象とした国内第Ⅰ/Ⅱ相試験においても一貫した有効性と忍容性が示された.これらの成績に基づき,エプコリタマブは「再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,高悪性度B細胞リンパ腫,原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」及び「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 3B)」を効能又は効果として本邦において2023年9月に製造販売承認を取得し,新たな治療選択肢に加わった.</p>
収録刊行物
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- 日本薬理学雑誌
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日本薬理学雑誌 159 (1), 61-68, 2024-01-01
公益社団法人 日本薬理学会