生体分子を「みえる化」する技術―単色蛍光タンパク質センサーの革新―

  • 三田 真理恵
    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門
  • 北口 哲也
    東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Make the invisible visible—innovation in the single fluorescent protein-based indicators—

抄録

<p>多彩な生命現象は,タンパク質や代謝産物,シグナル分子,イオンなど,多岐にわたる生体分子の協調的かつ階層的な相互作用によって作り出される.しかし多くの場合,これら生体分子には色がなく,そのままでは観察することができない.そこで,それぞれの分子に色をつけることで「みえる化」し,機能相関を詳細に解析する試みがなされている.その手法のひとつとして,単色蛍光タンパク質センサーを駆使したライブセルイメージング技術がある.単色蛍光タンパク質センサーは,蛍光タンパク質をもとにしてつくられた人工タンパク質であり,標的分子との結合によって輝度変化を起こすように設計されている.2000年代にCa2+動態を可視化するセンサーが登場したことを起点に,革新的スクリーニング手法を積み重ねることでマルチカラーなセンサー作出が達成されている.また筆者らは,従来のセンサーとは異なる分子デザインと,分子進化を巧みに活用した独自のスクリーニング手法を確立し,cAMPやグルコースなど,生体内で重要な役割を持つさまざまな分子に対する単色蛍光タンパク質センサーの開発に成功した.本稿では,この単色蛍光タンパク質センサーに着目し,その開発戦略やスクリーニング手法の発展の歴史について紹介したい.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 159 (1), 13-17, 2024-01-01

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (13)*注記

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