免疫ゲノム薬理学

  • 中村 祐輔
    国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Immunopharmacogenomics

抄録

<p>DNAシークエンス技術やさまざまなオッミクス解析技術の進歩に伴い、サイトカインやケモカインなどの生理活性物質、T細胞・B細胞受容体配列解析などを経時的に捉えることが可能となり、多種多様な病態や薬剤の応答性に関連する免疫細胞の変化を詳細に追跡することができるようになりました。また、シングルセルレベルでの解析技術も進み、ダイナミックな免疫系細胞の動きを詳細に知ることができるようになりました。さらに、薬物誘発性の皮膚過敏症や肝毒性は、薬物とHLAの相互作用によって活性化された免疫応答が重要なカギを握ることが示唆されています。スチーブンス・ジョンソン症候群などの薬疹にはHLAのクラスI分子が、肝毒性にはクラスII分子が関連しています。がん治療においては、がん組織内や全身の免疫環境が、がん免疫療法だけでなく、抗がん剤・分子標的薬の反応性においても重要であることがわかってきています。さまざまな疾患の発症・寛解・増悪過程での免疫応答の変化は、これまで完全に解析されていませんでしたが、免疫薬理ゲノム学の発展はこれらの解明に重要になってくることを紹介します。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ