基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生腸内細菌目細菌感染患者に対する遊離形セフメタゾール濃度を用いたPPK/PD解析と最適投与法の構築

DOI
  • 並木 孝哉
    慶應義塾大学 大学院薬学研究科 医療薬学部門 東京ベイ・浦安市川医療センター 薬剤室
  • 横山 雄太
    慶應義塾大学 大学院薬学研究科 医療薬学部門 慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 医療薬学部門
  • 枦 秀樹
    東京ベイ・浦安市川医療センター 薬剤室
  • 織田 錬太郎
    東京ベイ・浦安市川医療センター 感染症科 東京都立多摩総合医療センター感染症内科
  • 地引 綾
    慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 医療薬学部門
  • 河添 仁
    慶應義塾大学 大学院薬学研究科 医療薬学部門 慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 医療薬学部門
  • 松元 一明
    慶應義塾大学薬学部 薬効解析学講座
  • 鈴木 小夜
    慶應義塾大学 大学院薬学研究科 医療薬学部門 慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 医療薬学部門
  • 中村 智徳
    慶應義塾大学 大学院薬学研究科 医療薬学部門 慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 医療薬学部門

抄録

<p>【目的】基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生腸内細菌目細菌(ESBL-E)感染症治療において、カルバペネム系抗菌薬の代替薬としてセフメタゾール(CMZ)が注目されている。CMZは腎排泄型で蛋白結合率が高い薬剤であり、ESBL-Eに対して、fT≧MICが70%になるように投与設計することにより、有効な殺菌効果が得られると報告されている。しかし、ESBL-E感染患者に対する遊離形薬物動態(PK)パラメータを用いた最適投与法は不明である。本研究は、ESBL-E感染患者における遊離形CMZ濃度を用いた母集団薬物動態/薬力学(PPK/PD)解析を実施し、最適投与法を構築する。</p><p>【方法】本研究は倫理審査委員会の承認を得て、CMZ投与患者よりインフォームドコンセントを取得した。血液サンプルはCMZ投与前、点滴終了直後、点滴終了1時間後時点等から採取した。2020年9月~2022年3月のESBL-E株のMICは、臨床検査標準協会のガイドラインに従い、微量液体希釈法より測定した。PPK解析は、PhoenixR NLMETMより、遊離形CMZ濃度を用いて、ベースモデルを構築、共変量探索、最終モデルの適格性評価を行った。組み込まれた共変量ごとに各投与法(投与量、投与間隔、点滴時間)に応じてモンテカルロシミュレーションを実施し、目標達成確率(PTA)を算出した。PTAは、10,000回のシミュレーション結果のうち70% fT≧MICを達成する確率を示し、PTA(%)≧90%を達成する投与法を検討した。また、各菌の全株数に占める各MICの分率に、各MICでのPTAを乗じた値を総計した有効反応期待確率として算出し、投与法を検討した。</p><p>【結果・考察】対象患者37人が組み込まれ、血液サンプル146検体の遊離形CMZ濃度を測定した。ESBL-E株のMIC50値及びMIC90値はそれぞれ2、4 mg/Lだった。ベースモデルは1コンパートメントモデル、混合誤差モデルが選択された。PPK解析後の遊離形CMZの最終モデル式は、CL = 16.2 × (CLCR/4.36)0.781 × (アルブミン/28)1.2 L/h、V = 47.1 × (体重/62.8)0.751 Lであった。適格性評価より、最終モデルの妥当性が示された。患者個々のCLCR、アルブミン及び体重ごとの最適投与法のノモグラムを作成し、投与量及び投与回数の増加もしくは点滴時間を延長することでPTA及び有効反応期待確率を増加することが示された。</p><p>【結論】遊離形CMZ濃度を用いたPPK/PD解析を実施し、ESBL-E感染患者に対するCLCR、アルブミン及び体重ごとの最適投与法のノモグラムを構築した。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861692692714112
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_2-c-o12-5
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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