長期育児休業を取得した男性の性役割観の発達プロセス
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- 筒井 健太郎
- リクルートワークス研究所
書誌事項
- タイトル別名
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- ―デュアルキャリアカップルに着目して―
抄録
本研究は、長期育児休業を取得した男性の性役割観が発達するプロセスを解明することを目的とした。調査対象者は、夫婦ともにキャリア自律意識を持って仕事と育児の両立に取り組んでいるデュアルキャリアカップルであって、1ヶ月以上の長期育児休業を取得した男性に着目した。条件に合致する9名の男性に対して半構造インタビューを実施し、M-GTA によって分析した。 その結果、仕事と育児の両立意識が高い男性であっても、伝統的な男性役割観が深く根付き、さらにそうした意識がジェンダー化された組織の中で再生産されていることが分かった。 しかし、そうした男性の性役割観は、長期育児休業の取得を通じて仕事/家庭領域に限らない複数の重要な他者と関わり、選択された他者と親密な関係性を結びながら、相対化されていく過程が明らかになった。特に、配偶者との間で育まれるジェンダー秩序の発展は、男性の性役割観の変容を促す重要な要因となっていた。このような過程を経て、男性は新しい男性役割観を形成する。ただし、その到達点においては、新しい男性役割観のみならず、伝統的な男性役割観も両立させる形で性役割観が形成されていることが明らかになった。
収録刊行物
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- Works Discussion Paper
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Works Discussion Paper 70 (0), 1-47, 2023
株式会社 リクルート リクルートワークス研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390861692693031040
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- ISSN
- 24350753
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可