2021 年度海域地質図航海で行った トカラ列島周辺海域の反射法音波探査及びドレッジ調査の概要

  • 石野 沙季
    産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門
  • 針金 由美子
    産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門
  • 三澤 文慶
    産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門
  • 井上 卓彦
    産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Overview of the seismic survey and dredge sampling in the vicinity of the Tokara Islands conducted during geological map research cruises in 2021

抄録

<p>北部沖縄トラフ近傍のトカラ列島周辺海域における海底地質図を作成するため,GB21-2航海,GB21-3航海,及びGS21航海にてマルチチャンネル反射法音波探査及びドレッジ調査を行った.本稿では,反射法音波探査とドレッジ調査の概要,及び反射断面に認められた特徴的な海底地質構造について速報する.トカラ列島東方の反射断面には,音響基盤の上位に堆積盆が観察された.この堆積盆には西北西– 東南東走向の正断層が発達し,堆積盆の北縁部及び南縁部では正断層が特に密に分布していた.堆積盆の形成過程における構造運動の違いを反映していると考えられる不整合面を認定した.正断層によってこの不整合面より下位の地層が露出しているところでドレッジ調査を行い,堆積岩を採取した.トカラ列島西方においては,北北東– 南南西方向の地形的高まり西側斜面に沿って約50 kmに渡る西落ちの正断層が認められた.この地形的高まり周辺の海底平坦部には,広域的に正断層が発達しており,多くが北北東– 南南西走向であった一方で,諏訪之瀬島西沖及び悪石島西方沖では東北東– 西南西走向が卓越していた.さらに,本海域西方では一部で横ずれ運動を示唆する高密度に発達した正断層が分布していた.今後,このような構造的特徴に加えて音響層序による地層の面的な分布を検討することで,北部沖縄トラフとトカラ列島周辺海域の構造発達史についてより詳細な議論へ進展すると期待される.</p>

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (21)*注記

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