当院救命救急センターにおけるCOVID-19患者への リハビリテーションの経過報告

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タイトル別名
  • O-153 呼吸・循環・代謝③

抄録

<p>【活動目的】 2019年末より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が全世界に流行し、未曽有の感染症対策をしながらの医療提供を強いられた。当院救命救急センターに受け入れられるCOVID-19患者の特徴は、主に重症のH型(肺水腫が進行し肺内含気が低下してコンプライアンスが低下するタイプ)が多く、人工呼吸管理のみでは抵抗性があるためECMO(extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺)の適応となりうる患者が多い。また、集中治療室に入室することでICU-AW(ICU acquired weakness:ICU関連筋力低下)や、PICS(post intensive care syndrome:集中治療後症候群)などの合併症が懸念されるため、積極的に活動性を上げる早期リハビリテーションの介入が日常生活への復帰や社会復帰に重要となる。そこで、当院の重症COVID-19患者へのリハビリテーションの経験についてここに報告する。</p><p>【活動内容】 当院でこれまでに管理した重症COVID-19患者は88例で、このうちリハビリテーション部は2020年5月から2023年1月までの間に68例の患者に介入した。</p><p> 通常の急性期リハビリテーションでは、早期からのearly mobility and exerciseの実施を推奨しているが、ECMO開始初期のリハビリテーションは肺保護戦略を取り、オープンラングや早期離床などは原則として不要、主に侵襲的人工呼吸管理下での四肢拘縮予防ROM-ex、呼吸理学療法(胸郭コンプライアンス維持、排痰療法)、腹臥位療法を主体としている。侵襲的人工呼吸管理下かつECMO管理下の患者は、深鎮静で使用する鎮静・鎮痛剤の使用量が多く、ステロイドも併用するため筋力低下が生じやすく、基本動作能力、運動耐容能の低下にも影響を及ぼす。そのため肺保護戦略解除後はなるべく覚醒させ、侵襲的人工呼吸管理下やECMO管理下においても可能な範囲で基本動作能力の向上を目指した。当院では一か月を超える長期ECMO患者も経験しているが、覚醒を上げ、活動性を上げる際の自発呼吸回復時には呼吸器合併症(P-SILI:patient self-inflicted lung injury自発呼吸誘発性肺傷害)を最小限にするため医師主導の下、呼吸状態のモニタリング(換気量、駆動圧、吸気努力、呼吸数など)を厳密に管理しながら座位および起立練習等の基本動作練習を実施している。</p><p>【活動経過】 これまでの経験から、ECMO患者への治療およびリハビリテーションは日々変化する全身状態に適宜対応するため、毎日の多職種協議の上、治療方針を決定し、それを実行するためのある程度の経験を有した医師・看護師・臨床工学技士などの他職種連携チームにより、合併症を最小限に、リハビリテーションの効果は最大限に引き出し、患者のADL向上や社会復帰を目指すチーム医療であると考えている。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861714827242112
  • DOI
    10.32298/kyushupt.2023.0_153
  • ISSN
    24343889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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