進行大腸癌が侵入門戸と考えられる Listeria monocytogenes 菌血症の1例と当院における侵襲性リステリア感染症のレビュー

DOI
  • 見坂 恒明
    兵庫県立丹波医療センター 内科 神戸大学大学院医学研究科 地域医療支援学部門
  • 長谷川 貴也
    兵庫県立丹波医療センター 内科
  • 迫 健太郎
    公立豊岡病院 総合診療科
  • 合田 健
    兵庫県立丹波医療センター 内科 神戸大学大学院医学研究科 地域医療支援学部門
  • 森 寛行
    兵庫県立丹波医療センター 内科
  • 板倉 崇泰
    兵庫県立丹波医療センター 内科
  • 大野 伯和
    兵庫県立丹波医療センター 外科

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抄録

リステリア感染症は経口的に摂取されたリステリアが腸粘膜に浸透し全身感染症となる。症例提示および当院におけると侵襲性リステリア感染症のレビューを報告する。症例は 89 歳女性。数ヶ月前に上行結腸癌(cT3N1bM0)を指摘されたが,手術を希望せず経過観察となっていた。入院 1 週前から食欲不振が出現し,悪心が持続するため当院を受診し,入院した。血液培養でListeria monocytogenesが検出され,侵襲性リステリア感染症として,第 6 病日から抗菌薬をアンピシリン 4g/ 日に変更し,計 21 日間治療した。 当院開設後 2 年間で,培養検査で Listeria monocytogenes が培養された症例をまとめた。本症例を含めた 7 例あり,年齢は 65 歳-93 歳(中央値 88 歳)。全例血液培養陽性であった。消化器症状は 4 例のみ,6 例に発熱,5 例で悪性腫瘍合併(4 例消化器癌)を認めた。侵襲性リステリア感染症では,悪性腫瘍の併存を念頭 に置くことが重要である。また担癌状態での発熱では,消化器症状がなくともリステリア感染症を念頭におく必要がある。

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