微小血管塞栓術の定量評価に向けた粒子塞栓を伴うCFD解析の手法の提案

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抄録

<p>新生微小血管を難溶性抗生物質の粒子によって塞栓する治療法に期待が集まっている.しかし,この手技は術者による定性的判断に基づいて行われており,塞栓物質の粒径や放出条件についての定量的考察が行われていなかった.そこで本研究では,粒子が放出され,狭窄部で血管壁に接着し凝着によって塞栓に至る過程を,流体によって駆動される粒子の移動現象であると捉え,巨視的粒子モデル(MPM)によって表現することを提案する.分岐部と狭窄部を併せ持つ血管形状を3DCADソフトにて構築し,MPMによる塞栓シミュレーションを行った.血流を模擬した定常流れ場に対して粒径1.0mmおよび1.1mmと設定した粒子を放出し,血流場の解析および粒子の追跡を行った.計算結果を可視化したところ,粒子が流体の流れに沿いつつ慣性力に従って流れていく様子が観察された.また,粒径が1.0mmのときは,粒子が血管壁に付着し狭窄を発生させた.そして粒径が1.1mmのときは,粒径より直径が小さな狭窄部で塞栓を発生させ,塞栓部位の先には流体が流れていないことが確認された.これは,細い血管を塞栓物質が1粒だけで塞栓した状態であるといえる.これらのことから,本研究で構築したMPMによる流れ解析は塞栓を模擬することが可能であると示唆された.したがって,塞栓による流体領域の変化をCFD解析に取り入れることが可能となり,慢性関節炎や脳腫瘍に対する粒子を用いた血管塞栓治療の術前シミュレーションへの応用が期待できる.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual61 (Abstract), 246_2-246_2, 2023

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861770520740480
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual61.246_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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