災害医療に活用する鉄道の新たな価値の提案

DOI
  • 梅津 光生
    早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所

Abstract

<p>災害医療派遣チーム(DMAT)のHPに、阪神淡路大震災での初期医療体制の遅れから、避けられた災害死が500名に上ると考えられ、臨時医療施設の開設と重症患者の広域搬送の必要性が記されている。自衛隊やDMATが被災地に最初に到着し、その後赤十字などの災害医療チームが続々と救援活動に加わっている。しかし、最近の目覚ましい技術の進歩を見ると、今まで注目されていなかった「鉄道」が上記の問題解決に大きく貢献できる可能性があるのではないか、と考えるに至った。被災地では、がれきを取り除けば線路を確保できるが、停電では電車が使えないと考えるのが一般的である。しかし最近では蓄電池搭載型電車が開発され、電化区間では架線からの電気で通常走行すると同時に、蓄電池への充電を行う。非電化区間では蓄電池を使って走行する方式で、これは災害・停電時にも活躍が期待される技術である。また、日本赤十字社が全国17か所に準備している国内型緊急対応ユニット(dERU)は、臨時医療施設を開設するためのものである。被災地がどこであれ、鉄道貨物コンテナを用いれば被災地の近くまでそれを医療スタッフと一緒に運び、トリアージや大人数の患者搬送に使えるであろう。このようなアイデアの実現には、従来の地方自治体、厚生労働省(DMAT)、日本赤十字社などの他に、国土交通省や鉄道事業者も災害救援の司令塔の枠の中に入れるような仕組みが重要と考える。</p>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390861770520864512
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual61.89_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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