Nurturing 症候群がフレゴリの錯覚に移行した右中大脳動脈領域梗塞の 1 例

  • 千葉 朋子
    一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院神経心理学研究部門
  • 佐藤 睦子
    一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院神経心理学研究部門
  • 元木 千尋
    医療法人社団新生会南東北第二病院リハビリテーション科 介護老人保健施設三春南東北リハビリテーション・ケアセンター
  • 金子 知香子
    一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院脳神経内科

書誌事項

タイトル別名
  • Nurturing Syndrome Converting to Fregoli Delusion : A Case of Right Middle Cerebral Artery Territory Infarction

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抄録

<p>  Nurturing 症候群がフレゴリの錯覚に移行した右中大脳動脈領域梗塞の 1 例を報告した。症例は 75 歳女性で, 8 年前に夫と死別してからは独居だった。左片麻痺をきたす脳梗塞を発症し当院に緊急入院した。本例は, 個室に入院中は夫が健在であるかの如くふるまい続け (nurturing 症候群) , 回復期病院に移ると周囲の男性患者を夫に誤認するようになった (フレゴリの錯覚) 。本例の nurturing 症候群とフレゴリの錯覚には, 夫への思慕が呼び起こした自伝的記憶と, それに伴う情動が共通してあると思われた。 また, 故人が現世に存在するという不合理な信念が持続した背景には, 右前頭葉の機能低下が関与していると考えられた。さらに本例の示した経過から, nurturing 症候群とフレゴリの錯覚とを分ける要因として第 1 に考えられたのは, 患者をとりまく人的環境だった。</p>

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参考文献 (18)*注記

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