シート状セルロースナノファイバーによる義歯床用アクリルレジンの補強効果について

  • 山口 夏輝
    日本歯科大学東京短期大学専攻科 歯科技工学専攻
  • 小泉 順一
    日本歯科大学東京短期大学 歯科技工学科

書誌事項

タイトル別名
  • Reinforcing effect of acrylic resin denture base using sheet-like cellulose nanofiber
  • シートジョウ セルロースナノファイバー ニ ヨル ギシショウヨウ アクリルレジン ノ ホキョウ コウカ ニ ツイテ

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抄録

植物由来の新素材であるセルロースナノファイバー(以下,CNF)は,軽量・高強度・高弾性・低熱膨張性などの特性を持ち,義歯床用レジン(以下,床用レジン)に添加すると機械的強度が向上することが報告されている.本研究では,シート状のCNF(以下,CNFシート)をレジンの補強材として埋入し,従来のグラスファイバー製補強材(以下,従来の補強材)と比較することでCNFシートの補強効果を調べ,臨床応用に向けた検討を行った.床用レジンは常温重合レジンを使用し,補強材としてCNFシートのアウロ・ヴェール,グラスファイバー製補強材のSESメッシュを埋入した.実験条件は,CNFシートを1枚埋入,CNFシートを2枚埋入,SESメッシュを1枚埋入,補強材なしの4条件とした.曲げ試験の結果,補強材を埋入した条件は,補強材なしに対して曲げ強さが大きな値を示した.CNFシート2枚とSESメッシュは有意差が認められた(p<0.05)が,CNFシート1枚では有意差は認められなかった.結果より,CNFの高強度と高弾性という特性が発揮され,従来の補強材と同等の補強効果が得られた.また,CNFシート表面とレジンの接着が補強効果に影響することが示唆された.さらに,CNFシートは床用レジンへの色調影響が少なく,補強材として審美性に優れ,従来の補強材と同様の操作で扱うことができることから臨床的に有用であることが示唆された.

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