粤港澳大湾区構想と香港の役割変化 ― 港湾整備とイノベーションを中心に ―

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  • The Changing Role of Hong Kong in Guangdong–Hong Kong–Macao Greater Bay Area: Focusing on Port Development and Innovation

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抄録

要 旨  粤港澳大湾区(Guangdong–Hong Kong–Macao Greater Bay Area, GBA)構想は、2013 年に習近平国家主席が提唱した「一帯一路」構想の結節点である。2017年7 月1 日に中国政府・広東省・香港・マカオの各政府が締結した「広東省・香港・マカオ協力深化による粤港澳大湾区構想建設推進枠組み協定」に基づいて、2019 年2 月18 日には「粤港澳大湾区発展計画綱要」が公表されている。中央政府と香港、澳門の特別行政区政府がGBA 構想を進める中、GBA をめぐる研究では、各都市の役割分担を政策的インプリケーションとするものが多く見られる。とりわけ、香港と深圳の協力、あるいは香港と広州・深圳の協力をどう進めていくか、香港をGBA にどう組み込んでいくか、取り込んでいくかといった視点が共通して見られる特徴である。港湾整備においては、現物の貨物を中心に担うのではなく、海上保険など金融面で海事を支えることが期待され、イノベーションにおいても、金融面での役割が香港に期待されている。すなわち、GBA の中で、香港は、従来有していた港湾都市のイメージや金融をはじめとする先進的なイノベーション都市のイメージを広州や深圳に明け渡し、金融プラットフォームとしての役割を担うことが求められている。

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