サンゴ礁生態系活用型の沿岸防災に向けて

  • 本郷 宙軌
    和歌山県立南紀熊野ジオパークセンター 和歌山大学紀伊半島価値共創基幹災害科学・レジリエンス共創センター

書誌事項

タイトル別名
  • Coral reef ecosystem-based coastal disaster risk reduction

抄録

<p>近年,生態系活用型の防災・減災(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction:Eco-DRR)が国際的に注目されている。サンゴ礁は外洋からの高波を減衰させるため,天然の防波堤として沿岸災害のリスク低下に重要である。しかし,サンゴの白化などによってサンゴが作り出す立体構造が失われると,海底摩擦等による波浪エネルギーの減衰機能が低下するため,沿岸災害リスクが増加することが考えられる。一方,今後の海面上昇はサンゴ礁の上方成長を促す可能性があるため,波浪エネルギーの減衰に重要な要因であるが,将来の海面上昇とサンゴの成長,サンゴ礁の上方成長の関係についての科学的知見は少ない。そのため,早急に科学的知見を蓄積してサンゴ礁が持つEco-DRRの重要性を明らかにすることが必要である。Eco-DRRは観光や教育,都市計画など社会が求める多様な分野に関係している。サンゴ礁を活用したEco-DRRの研究はまだ始まったばかりであるため,社会実装に向けてどのような取り組みが出来るか検討することがこれから必要となる。</p>

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参考文献 (59)*注記

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