予防的腕頭動脈離断術の適応と手術成績についての検討

書誌事項

タイトル別名
  • Preventive Transection of the Innominate Artery

抄録

<p> 気管切開後の合併症である気管腕頭動脈瘻は重篤な病態である.予防的に腕頭動脈離断術を施行した5例について検討した.平均年齢は16歳で,全例に精神発達遅滞があり,気管切開後で気管カニューレが留置されていた.術前の胸部CTで胸郭の著明な変形と脊椎の側弯があり,腕頭動脈が気管前面を走行して気管の圧迫と狭窄があった.頭部CT,MRIでWillis動脈輪の交通を確認した.右上肢と,左上肢または下肢に動脈ラインを確保した.前頚部横切開を行い,胸骨は切開しなかった.腕頭動脈を一時的に遮断後の右上肢の血圧は平均83 mmHgで,右上肢/体血圧の血圧の比は,0.77だった.腕頭動脈を離断し,右総頸動脈と右鎖骨下動脈との連続性を維持するよう断端を閉鎖した.人工血管によるバイパスは行わなかった.術後の経過は良好であった.予防的腕頭動脈離断術は気管腕頭動脈瘻の危険が高い症例を適応とすることは妥当である.</p>

収録刊行物

  • 北関東医学

    北関東医学 73 (4), 305-308, 2023-11-01

    北関東医学会

参考文献 (6)*注記

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