陰囊がんと鑑別を要した扁平コンジローマ

  • 竹内 聡
    国家公務員共済組合連合会浜の町病院 皮膚科 九州大学大学院医学研究院皮膚科学
  • 石倉 侑
    国家公務員共済組合連合会浜の町病院 皮膚科
  • 米田 玲子
    国家公務員共済組合連合会浜の町病院 病理診断科
  • 隅田 幸佑
    国家公務員共済組合連合会浜の町病院 感染症内科
  • 中原 剛士
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学

書誌事項

タイトル別名
  • Condyloma Lata Mimicking Scrotal Cancer

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抄録

<p>患者:24 歳,男性</p><p>主訴:陰囊部のびらんを伴う紅色結節,疼痛</p><p>既往歴:特になし</p><p>現病歴:3 カ 月前より陰囊右側に疣様結節が生じて増大し,びらんを伴う紅色結節となり当院泌尿器科を受診した。MRI で両側リンパ節腫脹がみられ,陰囊癌を疑われ生検目的に紹介となった。受診約 3 カ 月前まで複数の異性との感染機会があった。</p><p>現症:陰囊右側に 6.0×3.5 cm で白苔様の点状角化とびらんを伴う紅色結節と同左側にも同様の小結節がみられた(図 1 )。他に軽度の陰茎包皮炎とびらんがみられた。</p><p>病理組織学的所見:表皮突起は著明に延長して不規則に融合し,一部に楔状の角化がみられた(図 2 a)。表皮細胞の異型は乏しく,真皮に浸潤する炎症細胞の主体は形質細胞であった(図 2 b)。核分裂像は少数で(4/20HPF 程度)で表皮の肥厚は炎症性変化と考えられた。追加の免疫組織化学染色では肥厚した表皮の比較的浅層に抗 Treponema pallidum 抗体が陽性で(図 2 c),細胞間に多数の菌体様構造がみられた(図 2 d)。</p><p>血液検査所見:CEA:0.7 ng/ml,CA19-9:5 U/ml,SCC:2.3 ng/ml と正常範囲で,病理組織確認後,保存血清での TPHA と RPR 定性は強陽性,その後の定量では TPHA:20480 倍,RPR:64 倍と高値で,HIV,HBV,HCV,淋菌,クラミジアはいずれも陰性であった。</p><p>診断:扁平コンジローマ</p><p>治療および経過:当院感染症内科にてアモキシシリン 1500 mg/日を 28 日間処方され,再診予定であったがその後来院はなかった。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (6), 437-438, 2023-12-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (1)*注記

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