妊娠中の付属器腫瘍手術の術式の検討:吊り上げ式腹腔鏡補助下手術と開腹手術

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タイトル別名
  • Surgical techniques for ovarian tumor resection during pregnancy:Role of gasless laparoscopy assisted surgery and laparotomy

抄録

妊娠中の付属器腫瘍手術術式は,腹腔鏡下手術が開腹手術と比して術後疼痛の減少,術中出血量低下や術後入院期間の短縮等のメリットがあるとされる.当院では妊娠中の卵巣腫瘍手術に対し腰椎麻酔下でのGLLA(gassless laparoscopy assisted surgery;吊り上げ式腹腔鏡補助下手術)を用い,全身麻酔や気腹を用いずに低侵襲手術を行ってきた.当院で2015年3月から2023年2月までの8年間に,妊娠中に付属器腫瘍手術を施行した症例は9例であり,GLLAが3例,開腹手術が4例,GLLAで開始し開腹移行とした症例が2例であった.妊娠中に腹腔内手術を施行する最適時期は第2三半期初期とされ,第3三半期には腫大した子宮により術野確保が困難なことが問題となり,開腹手術を要することが多いとされる.GLLA群は手術施行時期が第1,2三半期であり,GLLA→開腹群は第3三半期であった.GLLAは第1,2三半期における腰椎麻酔での妊娠中の卵巣手術術式として,全身麻酔の薬剤や二酸化炭素による気腹の影響を避けられる術式であり,開腹手術と比すると手術切開創の短縮や手術時間短縮が得られるなど利点が多い術式と考えるが,第3三半期の症例や卵巣腫瘍が子宮背側に位置し腹腔内操作が困難な症例,緊急手術などにより腸管の拡張を伴っている症例では,開腹手術を要する場合が多いと考える.ただし,こういった症例でも先にGLLAを施行し腹腔内を観察しておくことで,より低侵襲に手術を施行できる可能性があると考えられた.〔産婦の進歩76(1):25―31,2024(令和6年2 月 )〕

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861925378819072
  • DOI
    10.11437/sanpunosinpo.76.25
  • ISSN
    13476742
    03708446
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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