小児神経と生命倫理学 生命倫理学と小児神経学のトランスレーション

  • 笹月 桃子
    西南女学院大学保健福祉学部 九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野 (小児科学)
  • トカン ヴラッド
    九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野 (小児科学)
  • 酒井 康成
    九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野 (小児科学)
  • 吉良 龍太郎
    福岡市立こども病院小児神経科
  • 大賀 正一
    九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野 (小児科学)

書誌事項

タイトル別名
  • Translational medicine of bioethics and child neurology : A short essay

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説明

<p> 近年,神経・筋疾患,小児がん,造血器疾患に対する新しい遺伝学的解析法と治療薬が次々に開発され,これらは難治疾患を抱える子どもと家族に大きな希望を与えた.一方,小児科医が判断すべき治療法とその選択過程は複雑・多様化した.小児科医が子どもの代弁者として決断すべき選択肢は,法的・倫理的妥当性が許容される範囲内で,今後さらに多様化すると予測される.患児の利益をどのように擁護し,何を守るべきかに関して,主治医は決断までの過程を短縮・効率化することはできない.生と死の臨界点に際し,家族・医療者が双方に納得する合意を形成するには,合意を求めずに議論を尽くす覚悟もまた必要である.小児科におけるトランスレーショナル研究とは,実践臨床から生命倫理の本質を見出す努力に他ならず,答えのない難問について悩み続ける科学ではなかろうか.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 56 (1), 5-8, 2024

    一般社団法人 日本小児神経学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861936166640128
  • DOI
    10.11251/ojjscn.56.5
  • ISSN
    18847668
    00290831
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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