ドローン画像を利用した二次植生における細密植生図の作成と精度検証

書誌事項

タイトル別名
  • Vegetation mapping and its spatial accuracy based on drone multispectral images of secondary vegetation in southwestern Japan

この論文をさがす

説明

本研究では,①植生指標を用いた植生分類の精度が,使用しない場合と比べて向上するかどうか,②ドローン画像において,季節変化が分類精度に寄与するかどうかの2つを検証することを目的とした.調査地は,広島大学東広島キャンパス南部と,その周辺部とした.対象地は広葉樹と針葉樹,竹林,草地などがモザイク状に点在しているため,今回の研究に適した場所であると判断した.ドローンはDJI社のInspire2を,マルチスペクトルカメラはSentera社のMultispectral Double 4Kを使用した.ドローン画像の撮影は2020年6月,9月,10月,11月に実施した.分類には Arc GIS Pro を用い,学習モデルには Support Vector Machine を用いて,草地,落葉広葉樹,竹林,常緑広葉樹,アカマツ,針葉樹(スギ,ヒノキ)の6つの植生タイプに分類した.次に,植生タイプごとに地上踏査から分類精度の検証を行った.その結果,植生指標を使用したものは使用しない場合と比べて,有意差が見られなかった.一方で,異なる季節を組み合わせたドローン画像の分類精度は90%と,最も高くなった.これは,落葉広葉樹のように,季節によって葉の色が変化し,分類精度が大きく変動する場合に,多時期の画像を組み合わせることにより,チャンネル数が増え,スペクトルの変化を捉えやすくなった結果であると考えた.衛星画像は天候に大きく左右され,特定の時期に画像を取得できないことが多い.しかし,ドローンに搭載可能な光学センサはオンデマンドで画像を取得することができるため,多時期の画像を組み合わせればより高い精度で分類することができる.ドローン画像は季節変化や,小規模の土地利用の変化を追うのにも非常に有用であると考えられる.

収録刊行物

  • ヒコビア

    ヒコビア 18 (3), 131-144, 2021-12-28

    ヒコビア会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ