ヒアルロン酸による炎症性骨吸収の抑制作用

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タイトル別名
  • Preventive effects of hyaluronan on bone resorption

抄録

<p>ヒアルロン酸(HA)はグリコサミノグリカンの一種であり,生体組織における細胞外マトリックスの構成成分である.HA は関節液や関節軟骨に多量に存在し,潤滑作用や緩衝作用など関節を保護する役割を担っている.現在,変形性膝関節症(OA)や関節リウマチ(RA)における関節痛を和らげる目的として,関節内HA 投与が広く行われているが,骨吸収におけるHA の役割は不明な点が多い. 現在,筆者らは,HA の骨への作用に着目し,炎症性骨吸収への作用解析を進めている.マウス骨器官培養において,HA はインターロイキン-1( IL-1)誘導性の骨吸収活性を抑制し,炎症性メディエーターであるプロスタグランジンE2(PGE2)および関節軟骨破壊に関与するゼラチナーゼのマトリクスメタロプロテアーゼ( MMP)-2 と-9 の産生を阻害した.また,骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系において,HA はIL-1 誘導性の破骨細胞分化を抑制することを見いだした.その作用機序の解析では,骨芽細胞において,HA はIL-1 誘導性のPGE2 合成酵素群,破骨細胞分化誘導因子RANKL (receptor-activator of NF-κB ligand),およびコラゲナーゼMMP-13 のmRNA 発現を抑制し,NF-κB 転写活性を抑制することを明らかにした.本総説では,ヒアルロン酸の炎症性骨吸収への作用についての知見を概説する.超高齢社会において,歯周疾患やリウマチ疾患などの炎症を伴う骨破壊へと発展する疾患罹患者数は増加することが見込まれているが,その治療因子の一つとしてヒアルロン酸が期待される.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862080002425728
  • DOI
    10.32153/ffr.ffr19_p50-55
  • ISSN
    24343048
    24323357
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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