診断に苦慮した心タンポナーデを合併した節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型の1例

DOI
  • 福西 雅俊
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 臨床検査科
  • 佐藤 麻美
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 臨床検査科
  • 久島 幸穂
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 臨床検査科
  • 小林 亮太
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 臨床検査科
  • 後藤 浩実
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 臨床検査科
  • 西川 幹人
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 循環器内科
  • 及川 達也
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 循環器内科
  • 吉田 一郎
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 循環器内科
  • 三浦 千砂子
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 病理診断科
  • 三浦 一郎
    社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院 病理診断科
  • 若狭 健太郎
    JA 北海道厚生連帯広厚生病院 血液内科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Extranodal NK/T Cell Lymphoma, Nasal Type With Cardiac Tamponade That Was Difficult to Diagnosis

抄録

<p> 悪性リンパ腫の組織型で最も多いのはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であり,節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型(ENKL)は非常に稀で予後不良である.我々は心タンポナーデを合併したENKLの1例を経験したので報告する.</p><p> 症例は40歳代男性.咳嗽と発熱,起座呼吸で近医を受診し心エコー検査にて心嚢液を指摘され心膜炎疑いで紹介来院.来院時心エコー検査では多量の心嚢液を認め,その性状は混濁し流動した内部エコーを伴っていた.心タンポナーデを合併していたため緊急ドレナージを施行し混濁した淡黄色の心嚢液を排出した.第3病日,血行動態は改善していたが心嚢液は残存していた.第9病日には心臓周囲に心筋輝度と比較して等輝度から高輝度を呈する増殖した腫瘤様エコーを認め,右房自由壁を中心に多く増殖していた.右胸骨アプローチでは右房自由壁の腫瘤を詳細に観察することができ,心嚢液細胞診での異型リンパ球と可溶性IL-2レセプター高値から悪性リンパ腫を疑い他院へ転院となった.リンパ節腫大がなく診断に苦慮したが,大網病変が出現したため生検施行.病理組織診断と臨床所見よりENKLと診断され化学療法を試みるも治療の甲斐もなく永眠された.心臓病変を合併するENKLは非常に稀であり,急速な腫瘤の増殖を認める際には悪性疾患,特にENKLを含めた悪性リンパ腫を念頭においた観察が重要である.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 55 (2), 162-171, 2023-02-15

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862157387796992
  • DOI
    10.11281/shinzo.55.162
  • ISSN
    21863016
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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