高吸水性樹脂製玩具による腸閉塞の非手術的治療をめざした実験に関する検討

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タイトル別名
  • Basic Experimental Study Aimed at a Possible Mitigation Strategy for Bowel Obstruction by Superabsorbent Polymer Beads

抄録

<p>【目的】当院では高吸水性樹脂製ビーズ(Superabsorbent Polymer Bead; SAPB)の誤飲により腸閉塞を来し手術を要した1歳児の2例を経験した.SAPBは周囲環境により吸水力が変化することが知られている.我々は,SAPBの特性を理解し誤飲症例の腸閉塞症状の予防ないし軽減の可能性を検討することを目的に,SAPBのサイズ変化に関する2つの実験を行った.</p><p>【方法】実験1:pH 4~pH 13の溶液10種類と,生理食塩水,コーラ,牛乳,原液ガストログラフィン(Gastrografin; GGF),3倍希釈GGF,イオン飲料水の6種類,計16種類の溶液内にSAPBを浸漬し,経時的な膨張の様子を観察した.実験2:水道水に浸漬し十分膨張させたSAPBを原液GGF,2倍希釈GGF,3倍希釈GGF,生理食塩水,牛乳,イオン飲料水の計6種類の溶液に浸漬し,経時的な縮小の様子を観察した.</p><p>【結果】実験1:SAPBはpH 7溶液やコーラ内で膨張速度が速く,pH 4溶液や原液GGF内で膨張が遅かった.膨張速度と最大サイズは概ね相関関係を示した.実験2:縮小効果は原液GGFが最も強く,希釈されたGGFの縮小効果は他の溶液と同等だった.いずれも12時間以降SAPBはほとんど縮小しなくなった.</p><p>【結論】誤飲したSAPBの膨張を原液GGFは抑制する可能性が示唆された.腸閉塞に対するGGF投与には議論があり,手術を回避できるとは限らないが,本研究はSAPB誤飲に対する非手術的なあらたな治療戦略にむけて有用な知見である.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862157392152192
  • DOI
    10.11164/jjsps.60.1_32
  • ISSN
    21874247
    0288609X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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