大きく進捗したキャッシュレス決済
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- 翁 百合
- 日本総合研究所 NIRA総合研究開発機構
書誌事項
- タイトル別名
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- コード決済の普及で若年層の現金決済志向は低下
抄録
2018年からの5年間でキャッシュレス決済は大幅に増加し、決済額ベースでは7割を超えるまでになった。政府のキャッシュレス推進策とコロナ禍での人びとの行動変容に加えて、この間に多くのプラットフォーム事業者が加盟店開拓やポイントを活用した積極的な顧客開拓を目指して競争したことが奏功したと考えられる。キャッシュレス決済額比率は、この間急速に普及したスマホで簡易に決済が行える、QRコード・バーコード決済およびタッチ決済(以下「コード決済等」)と、クレジットカード決済の利用拡大で上昇した。コード決済等は地域に関わりなく、どの年齢層・所得層でも広がったが、特に若年層に普及し、その現金決済志向を大きく変化させた。また、クレジットカード決済は若年層と低所得層の利用が進んだ上、Eコマースの広がりもあって、高齢層や高所得層にも浸透している。課題とされていた低所得層のキャッシュレス比率の低さは、この5年間でかなり解消されたと評価できる。他方、まだキャッシュレス比率が低いのは、医療・介護などの分野や個人送金であり、今後の一層の進展が期待される。人手不足が深刻化するにつれて、企業としても生産性向上が大きな課題となっており、キャッシュレス化は今後も進むことが予想される。一方で、キャッシュレス化とともに、セキュリティの確保や個人情報の適切な管理と活用が、民間事業者にとってますます重要な課題となっている。
収録刊行物
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- NIRAオピニオンペーパー
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NIRAオピニオンペーパー 75 (0), 1-10, 2024-01-31
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390862179308936064
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- ISSN
- 24362212
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可