下垂体後葉ホルモンの新たな生理作用〜遺伝子改変動物を用いた研究〜

DOI
  • 上田 陽一
    産業医科大学医学部第1生理学 産業医科大学学長研究室
  • 丸山 崇
    産業医科大学医学部第1生理学

書誌事項

タイトル別名
  • New Insights of Neurohypophysial Hormones -Transgenic Research in Rats-

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抄録

下垂体後葉ホルモンであるバソプレシン・オキシトシ ンは、視床下部室傍核・視索上核の大細胞性神経分泌 ニューロンで産生され、下垂体後葉に投射した神経終末から活動電位依存性に循環血液中に開口分泌される。それぞれの受容体(V1a,b,V2およびOTR)は7回膜貫通型受容体であり、Gタンパクと共役している。バソプレシンは、V1a受容体を介して血管収縮、V1b受容体を介して下垂体前葉からのACTH分泌、腎臓のV2受容体を介して水の再吸収(抗利尿)を引き起こす。一方、オキシトシンは、OTRを介して妊娠末期の子宮筋の収縮・分娩 の促進、授乳期の乳腺平滑筋の収縮(射乳)を引き起こす。最近、バソプレシン・オキシトシン受容体が脳内にも広範に分布しており、概日リズム、愛情などの中枢作用にも関与することが注目されている。 私たちは、バソプレシン・オキシトシンを産生する神経分泌ニューロンを生細胞のまま同定するために蛍光タンパク遺伝子を挿入した融合遺伝子を用いてトランスジェニックラットを作出した。また、それぞれのニューロンを特異的に活性化するためにDREADDsを応用したトランスジェニックラットも作出した。本稿では、これらのトランスジェニックラットを用いて得られた新知見を概説する。

収録刊行物

  • 血管

    血管 46 (3), 1-6, 2023-11-26

    日本心脈管作動物質学会

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