セルロースナノファイバー「セレンピア<sup>®</sup>」の食品用途

  • 松岡 孝
    日本製紙株式会社 バイオマスマテリアル事業推進本部

書誌事項

タイトル別名
  • Food Applications of Cellulose Nano Fiber “Cellenpia<sup>®</sup> ”

抄録

日本製紙の「セレンピア®」は,CMCと同じ化学構造をもったセルロースナノファイバーとして,唯一,食品添加剤として使用できる。<br>「セレンピア®」の次の5つの機能を全て兼ね備えており,またごくわずかな添加量で幅広い食品の品質安定化が可能な素材である。<br>①「保水性」…水を安定的に保ち,離水や乾燥を防ぐことができるので,食材や生地への水分移行を抑制。<br>②「保形性」…パンなどの腰折れを防ぎ,また長時間加熱でも形状を保持し,また水分の多い状態でも生地のべたつきを抑え,作業性向上にも寄与。<br>③「気泡安定性」…気泡が潰れにくく,きめ細かなふっくらとしボリュームを保持。かねつによる生地の凹みや縮みを防止。<br>④「懸濁安定性」…セレンピア®のセルロース繊維のネットワーク構造により溶液に含まれる不溶性成分をどの温度帯に関わらず低粘度で均一分散状態を長時間保持。<br>⑤「乳化安定性」…フラワーペーストや油系調味料などの油系食品において物性を安定化加熱工程での油分離,離水を防止し,口どけを控除。<br>また,原料は木質バイオマスを利用しているが,当社の持続可能な管理が行われている森林資源から調達しており,社会全体で炭素循環を進めていくことにも繋がり,SDGs達成へ貢献する食品添加剤と言える。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 78 (2), 99-102, 2024

    紙パルプ技術協会

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