両親間葛藤認知がもたらす青年の自己表現の在り方及び結婚観への影響 : 要求拒否想定場面におけるアサーション能力に着目して

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書誌事項

タイトル別名
  • The influence of recognition of conflict between parents on the way adolescents express themselves and their views on marriage. : focusing on assertion skills in assumed situations of demand rejection
  • リョウシンカン カットウ ニンチ ガ モタラス セイネン ノ ジコ ヒョウゲン ノ アリカタ オヨビ ケッコンカン エノ エイキョウ : ヨウキュウ キョヒ ソウテイ バメン ニオケル アサーション ノウリョク ニ チャクモク シテ

抄録

本研究では,子どもの適応や精神的健康に両親間葛藤が及ぼす影響について検討した。具体的には,青年期の自己表現の非主張性や自身の結婚に対する価値観に両親間葛藤による負の影響が見られることを推測し検証を進めた。質問紙法を用い,対象者は175名(男性60名,女性114名,その他1名)であった。本研究では,両親間葛藤認知が結婚観に影響を及ぼす直接効果と,青年の非主張的自己表現を媒介し両親間葛藤認知が結婚観に影響を及ぼす間接効果の2つを検討し,モデルを作成し,媒介分析を行った。結果として,直接効果は有意であった。また,間接効果は負の有意傾向がみられた。また,「両親間葛藤認知」から「非主張的表現」への有意な負のパスと,「非主張的表現」から「結婚観」への有意な正のパスも確認された。よって,両親間葛藤認知は,結婚観へ負の影響を直接的にもたらす一方で,非主張的表現を媒介した間接効果は有意傾向にとどまった。この背景には,両親仲の良悪に対する子ども目線の評定や親同士のコミュニケーションのモデリング,日本人特有の熟慮的自己表現の傾向が考えられる。今後の研究では,自己表現をする相手との関係性や属性の考慮や,両親間葛藤を体験する家庭の在り方全体のコミュニケーションと青年の精神的自立についても視野を広げる必要がある。

収録刊行物

  • 心理臨床科学

    心理臨床科学 13 (1), 17-30, 2023-12-15

    心理臨床科学編集委員会

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