NHK 杯佐賀県高等学校野球大会の私立の成績は公立校より優れている

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  • Private schools perform better than public schools in the NHK Cup Saga Prefecture High School Baseball Tournament

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抄録

高校野球において私立高等学校の躍進が目覚ましい。2023年8月に開催された全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園大会)に出場した49校の8割超(40校)が私立であり、3回戦以降に進んだ公立校は皆無であった。また、平成以降の春と夏の甲子園全国大会優勝校の9割超が私立であることなどから、高校野球における私立の優勢は明らかである。佐賀県においても夏の甲子園予選、春の甲子園予選(秋季の九州地区高等学校野球佐賀大会)では最近15年程度の期間では私学の優勢が認められつつある。夏と春の甲子園全国大会につながる二つの公式戦とは別に、夏の甲子園佐賀県予選の約1.5か月前にNHK 杯佐賀県高等学校野球大会(NHK 杯)が開催される。NHK 杯での優勝が直接甲子園大会につながるわけではないが、NHK 杯での上位進出は夏の甲子園佐賀県予選のシード候補の条件のひとつとされるため、夏の甲子園大会を目指す学校にとっては重要な大会といえる。このNHK杯において公立と私立のどちらの戦績が優勢かは不明である。そこで、本研究の目的はNHK 杯における戦績は公立と私立のどちらが優れているのかを明らかにすることであった。研究対象大会は2012年から2023年のNHK 杯全11大会であり、42校(公立36校、私立6校)が研究対象校であった。χ2検定の結果、私立の優勝率は50.0%(公立13.9%)、準優勝率は66.7%(公立13.9%)、準優勝以上への進出率は66.7%(公立22.2%)、ベスト4以上への進出率は100%(公立47.2%)、優勝複数回進出率は33.3%(公立2.8%)など公立に比べて有意に高かった。ロジスティック回帰分析の結果からも、NHK 杯における私立の優勢が示された。以上のことから、佐賀県における夏の甲子園大会の前哨戦ともいえるNHK 杯でも私立優勢の可能性が示された。本研究の方法論にはいくつかの課題が残されているため、本当に私立が優勢なのか、私立優勢の理由は何かを明らかにしていく必要がある。

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