ルシフェリン誘導体TokeOniによる新規生物発光システムへのCYPの関与
書誌事項
- タイトル別名
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- Implication of CYP for new bioluminescence system by luciferin analogue TokeOni
抄録
<p>生体光イメージング技術は生命科学分野において必要不可欠であり、中でもホタル生物発光系は最も汎用されている。生物発光は、発光基質(ルシフェリン)と発光酵素(ルシフェラーゼ)による化学反応で発光する。遺伝子導入により発現させた発光酵素に由来する光のみを体外から観測するため、励起光が不要である点において蛍光を用いたイメージングより優れている一方で、ホタル生物発光の560nm程度の発光波長は吸収を受けやすく体外からの検出が困難である。我々はこの問題に対応するため、生体透過性の高い近赤外発光を有するルシフェリン誘導体AkaLumine、TokeOni、及びSeMpaiを合成した。これらの生体透過性は大幅に増大しており、生物発光の欠点であった発光強度の低さを見事に克服した。一方で予想していなかったことに、発光酵素遺伝子導入のない野生型マウスにAkaLumine、あるいはTokeOniを投与しただけで、酵素の存在に関係なく肝臓で発光が観察された。これらの発光はシトクロムP450(CYP)の阻害剤によって減弱されたことから、CYPが発光に関与していることが示唆された。また肝疾患マウスにおいて発光を観察したところ、薬物性肝障害モデルは対照群に比べ疾患群の発光量は半分以下に減少し、非アルコール性脂肪性肝障害モデルは対称群に比べ疾患群の発光量は約2倍に増加した。これらの結果より、この肝臓発光システムがヒトの肝疾患の診断に利用できる可能性が示唆された。さらに、この発光現象が他の動物にも観察されるかを検討するため、クロキンバエとダンゴムシの抽出液にTokeOniを添加したところ、いずれも発光が観察された。これらの結果は、CYPが関与すると考えられるこの新しい発光システムが、幅広い動物種に保存されている可能性を示唆している。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 50.1 (0), O2-15-, 2023
日本毒性学会