プロテオグリカン合成を介した糖化ストレスの抑制

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  • Suppression of glycation stress via proteoglycan synthesis

抄録

<p> プロテオグリカン(PGs)は、タンパク質上の特定のセリン残基に結合したxylose、galactose、galactose、glucuronic acidのリンカー四糖に対して、アミノ糖とウロン酸が繰り返される糖鎖を有する。この特徴から分かるように、PGsは合成に多量のアミノ酸、糖、ATPを必要とする非常に高コストな分子である。それにも関わらず、幅広い生物種がPGsを合成しては絶えず細胞外へと分泌している。そのため、PGs合成には生物種や分子種を超えた生理的意義が存在すると予想されるが、未だによく分かっていない。</p><p> 終末糖化産物(AGEs)は還元糖がタンパク質のアミノ基に対して非酵素的に反応した構造体である。AGEsは活性酸素種(ROS)を増加させ、細胞の老化や血管の機能障害を引き起こす。上記のPGs合成に関わる糖はいずれも還元糖であるが、糖鎖の伸長過程で還元能が消失するため、PGs全体の還元能は合成に使用された糖がもつ総還元能と比べてはるかに小さくなる。よって、PGs合成を通じた還元糖の反応性の低下と細胞外への放出により、AGEsによる細胞傷害が軽減するのではないかと考え、これを検討した。</p><p> リンカー四糖の合成に関わるGlcAT-Iを干渉RNA法により抑制した血管内皮細胞を無血清の低D-glucose(5.55 mM)またはD-glucose添加(40.55 mM)DMEMで培養した。培養後48時間において、GlcAT-I 抑制群の細胞内ROS量が増加し、生存率の低下が認められた。また、D-glucose負荷条件下ではGlcAT-I抑制群において細胞内AGEs量とROS量が増加したものの、細胞生存率には影響を及ぼさなかった。以上の結果より、PGs合成が糖質負荷により加速するAGEsの生成や糖化ストレスに対する防御系として働くことが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862345537981696
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p1-030e
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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