異なる酵素誘導剤を投与したラットの肝S 9分画による代謝物起因遺伝毒性試験結果の相違
書誌事項
- タイトル別名
-
- Discrepancy of Metabolite Genotoxicity Test Results by Rat Liver S9 Fractions Treated with Different Inducers
説明
<p>In vitro遺伝毒性試験として用いられるAmes試験や小核試験では代謝物の遺伝毒性を評価するため、ラット肝臓ミクロソームであるS9分画を用いて薬剤の代謝物を生成させる試験手法が一般的である。S9分画取得のため、欧米ではPCB (polychlorinated biphenyls) 分子種であるAroclor 1254を投与してシトクロムP450の発現を誘導させるが、日本ではPCBの使用制限のためPhenobarbital+Beta-Naphthoflavone(PB/BNF)を投与して酵素誘導する。これらの誘導剤の相違によって生成代謝物の質や量に相違が生じ、遺伝毒性試験結果に差が認められるか検討した。 今回、Micro Ames試験を用い、Aroclor 1254、PB/BNFそれぞれによって誘導されたS9分画を添加して、種々の化合物添加時におけるコロニー数の増加を観察した。TA100株では2倍、TA98株では3倍のコロニー数増加を陽性判定の基準とした。一般にAmes試験の陽性対象として用いられる化合物群 (2-aminoanthraceneなど)では、誘導剤の種類による陰性/陽性判定の相違は認められなかったが、いくつかのニトロソアミン類の化合物で結果の相違が観察された。また、Aroclor 1254誘導のS9分画は、PB/BNF誘導のS9分画よりもCYP活性が高い傾向が認められた。これらの結果から、用いる誘導剤によって形成される代謝物が質的、量的に異なり、それによって遺伝毒性試験結果に相違が生じた可能性が示唆された。</p>
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P2-204-, 2023
日本毒性学会