<i>in vitro</i> 及び<i>in silico</i>手法を用いるisothiazolinone系抗菌薬によるTRPV1活性化評価
書誌事項
- タイトル別名
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- <i>in vitro</i> and <i>in silico</i> analysis for the activation of human TRPV1 by isothiazolinone antibiotics
抄録
<p>【目的】isothiazolinone抗菌薬はシャンプーやスプレー式家庭用消臭剤などの家庭用品などに用いられているが、アレルギー性接触皮膚炎などの健康被害が報告されている。本研究では、感覚神経のみならず皮膚や免疫細胞にも発現し、免疫応答や炎症反応に関与することが報告されているTRPV1に着目し、isothiazolinone系抗菌薬による活性化について評価した。【方法】in vitro評価:ヒトTRPV1を恒常的に発現するFlp-In 293細胞株を樹立し、細胞内Ca2+濃度の増加を指標として活性化を評価した。in silico 評価:PDBよりTRPV1の立体構造モデル(ID:3J5Q)をダウンロードした。Molecular Operating Environment(2022.02,MOLSIS Inc.)を用い、力場としてはAmber10:EHT、溶媒条件としてはR-Fieldを適用し、構造最適化後にドッキングシミュレーションを行い、分子間相互作用を検討した。【結果及び考察】in vitro 評価の結果、評価したisothiazolinone抗菌剤の中で2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one (OIT)が最も低い濃度でTRPV1を活性化することが明らかになった(EC50;50 µM)。OITについては、in silico評価の結果、TRPV1の典型的アゴニストであるcapsaicinの結合部位であるY511と相互作用する可能性が示された。室内環境対策として使用が増加しているノンホルマリン壁紙用接着剤からOITを含むisothiazolinone系抗菌薬が検出されている。OITは平成21年に発生した冷却パッドの使用に伴う重大製品事故の原因物質として特定されており、OITがTRPV1の活性化を介してこれら健康被害を引き起こす可能性が考えられる。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P3-239-, 2023
日本毒性学会