カニクイザルとゲッチンゲンミニブタの骨髄細胞分類へのヒト骨髄細胞分類基準の適用に関する検討
書誌事項
- タイトル別名
-
- Toward application of the bone marrow cell classification from human to cynomolgus monkeys and Göttingen minipigs.
抄録
<p> ヒト骨髄細胞の顆粒球系と赤芽球系の分化・成熟過程における主要な鑑別点の標準化を目的として、2021年6月に血球形態標準化ワーキンググループ(日本検査血液学会、日本臨床衛生検査技師会)から形態的特徴に基づいた分類基準が発表された。一方、非臨床試験では、げっ歯類や大動物など多様な実験動物が使用されており、骨髄細胞の分化・成熟過程における形態的特徴も動物種によって異なると考えられる。しかし、動物種ごとの骨髄細胞の分類において、主要な鑑別点が存在しないため、各施設や観察者の経験に依るところが多く、施設間差の原因となり、さらに技術習得も時間を要する。</p><p> そこで、本研究ではヒト骨髄細胞の分類基準をサルやミニブタに適用できるかを検討した。また、各動物種の骨髄細胞の顆粒球系と赤芽球系について、ヒトとの相違点を確認した。</p><p> サル及びミニブタからウェッジ法で作製した骨髄塗抹標本を観察し、上記のヒトの顆粒球系及び赤芽球系細胞の分類基準と比較した。ヒト顆粒球系細胞の分類基準では、骨髄球の主要な鑑別点として類円形の核、また後骨髄球として核の陥凹を挙げているが、サルでは大型の前骨髄球や比較的幼若な骨髄球でも核の陥凹が認められたため、この基準を適用するのは困難であると思われた。よって、後骨髄球は、骨髄球より陥凹が進んだ、馬蹄形の核と細胞質の色調から判断するのが適切と思われる。その他のサル骨髄芽球のType 1と2の分類については、ヒトの基準を適用できると考えられた。一方、ミニブタの顆粒球系の成熟過程における核の形態的特徴では、サルの前骨髄球や骨髄球のような陥凹は見られなかったことから、ヒトに類似していた。</p><p> 赤芽球系の分類における鑑別点については、ヒトとの差は見られなかったことから、ヒトの基準でサル、ミニブタに適用できると考えられた。</p>
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P3-260-, 2023
日本毒性学会