働く女性のヘルスリテラシー向上に向けた具体的支援政策の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Consideration of Supportive Policy to Improve Health Literacy of Working Women

抄録

【目的】 高齢社会が進み生産年齢人口が減少する中、女性が結婚や出産などライフステージが変わっても安心して働き続けることができる環境を実現する必要がある。そのためには、国や自治体、企業が働く女性の健康課題の解決に向けた施策を進めることが求められている。しかしながら、先行研究においては女性特有の健康課題の解決に向けて女性のヘルスリテラシーを向上させることが重要であることが明らかにされているものの、有効な支援施策は必ずしも示されていない。本研究では、社会経済上の諸課題に結びついている女性特有の健康課題をあらためて整理するとともに、ヘルスリテラシー向上のための具体的な支援策を検討する。 【方法】 まず、筆者らが参画した神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター「働く女性の健康プロジェクト」における働く女性を対象とした産学医連携プロジェクトにおけるデータ分析の結果から、本研究における基礎的な知見を整理する。そのうえで、それらの知見に立脚しつつより具体的な支援施策の在り方を検討するべく、ステークホルダーに対するインタビュー調査を実施し、神奈川県がとりうる政策的支援の在り方を提言としてとりまとめた。 【結果】 データ分析の結果からは、女性が自分自身の健康状態を知り行動変容を起こすための効果的なアプローチとして経膣超音波検査の存在が明らかとなった。また、インタビュー調査からは、医療職のなかでも助産師が幅広い年代の女性の健康支援に寄与できることが明らかになった。 【結論】 働く女性における女性特有の健康課題に対するヘルスリテラシーを向上させるための効果的なアプローチとして、①女性の健康に関する啓発資材の活用と経腟超音波検査費用の助成、②顧問助産師派遣の助成と活用の2つを提言する。産官学民が連携し、すべての女性が自分に適した健康づくりに向けて具体的な行動変容を起こし、自分らしくライフプランやキャリアなどの選択ができるような支援が必要であると考えられる。

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