網膜の再生医療

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タイトル別名
  • Regenerative therapy for retinal degeneration

抄録

<p>再生医療は,embryonic stem cell(ES細胞)やinduced pluripotent stem cells(iPS細胞)からさまざまな臓器オルガノイド及びその細胞の分化技術の発展に伴い,病態解析や薬剤スクリーニング,移植による細胞治療の分野において,その実用的な応用が注目されるようになった。とりわけ眼科では,外からアクセスしやすい臓器であることや,前眼部から眼底まで,詳細に観察するイメージング手法が発展してきたこと,また細胞治療を行うにしても小さな組織であることから必要細胞数が他の臓器治療に比べて少量で済むことなどから,早期より細胞治療による再生医療が試みられてきた。網膜は,眼底で視覚情報を最初に受け取ってシグナル処理を行う組織であり,光を受け取る視細胞,情報を処理しつつ伝える双極細胞をはじめとする2次ニューロン,脳に情報を伝える視神経の中に軸索を伸ばす神経節細胞(RGC細胞)の3層構造から成り立っている。さらに眼内の免疫環境を維持し,視細胞の光需要部位である外節の貪食や,視細胞が機能するために必須である視物質をリサイクルするシステムであるレチノイドサイクルの反応の一部を担う,網膜色素上皮(RPE)細胞は網膜の裏打ちをするように存在し,網膜の機能を維持している(図1)。これらの網膜及びRPE細胞は相互的に維持し合う関係にあり,いずれか片方が機能不全に陥ると,いずれは両者が変性していく病態も多く見受けられる。</p><p>われわれが一時的に網膜やRPE細胞が変性または機能不全に陥る病態に対し,これまでに臨床研究を行ってきており,ここで簡単に紹介する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862566410141696
  • DOI
    10.57444/shikokuactamedica.79.5.6_217
  • ISSN
    27583279
    00373699
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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