腸管不全に対する腸管リハビリテーションの現状

DOI
  • 田附 裕子
    大阪大学 小児成育外科 同、看護部 同、腸管不全治療センター
  • 木村 武司
    大阪大学 小児科 同、腸管不全治療センター
  • 上野 豪久
    大阪大学 小児成育外科 同、腸管不全治療センター
  • 森田 隆介
    同、栄養マネジメント部 同、腸管不全治療センター
  • 長井 直子
    同、栄養マネジメント部 同、腸管不全治療センター
  • 松尾 怜奈
    同、患者包括サポートセンター 同、腸管不全治療センター
  • 阿部 薫
    同、看護部 同、腸管不全治療センター
  • 北村 真世
    同、看護部 同、腸管不全治療センター
  • 田中 美和
    同、看護部 同、腸管不全治療センター
  • 奥山 宏臣
    大阪大学 小児成育外科 同、腸管不全治療センター

抄録

<p>我々は、患者のQOLの改善を目指した腸管リハビリテーションを実践している。しかし静脈栄養(PN)が離脱できる症例は限定的である。【目的・方法】腸管不全患者において外科的介入の効果、短腸症に対するGLP-2アナログ製剤(GLP-2)の効果をPN依存において検討した。【結果】外科的治療の適応となった患者は、トランジション症例を含む10例で、短腸症5例(3~38歳)、CIPO5例(7~28歳)であった。短腸症ではSTEP治療および腸管延長術が選択され術後排便回数が減少した。CIPOでは腸瘻再造設・胃瘻造設術などが選択され、術後嘔吐や腹部膨満の回数が減少した。短腸症では5例中2例でPNを減量できたが、CIPOでは術後も腹痛を有する症例がありPNの減量は困難であった。一方、短腸症11例(成人3例、小児8例)に対してGLP-2を導入し、全例で便回数の減少(-1~3回/日)および便性の改善を認め、全例で尿量の増加を認めた。投与開始後1年で、成人2例で輸液の減量が可能であり、うち1例はPNを離脱した。小児ではPN減量が2名で可能であったがPNの離脱はない。【結語】腸管不全患者に対する腸管リハビリテーションにおいて、外科的治療のみでのPN離脱は困難であった。一方、GLP-2製剤により短腸症1例でPN離脱を得たが、他はPN継続中である。現在、PN継続中の患者においてもQOLは安定しているが、長期PNの合併症も懸念され、小腸移植の適応およびその治療成績の向上が期待される。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s163_2-s163_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623768461696
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s163_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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