肝小腸移植における同一ドナーからの2臓器同時移植の有効性について

DOI
  • 岡本 竜弥
    京都大学 外科(肝胆膵・移植外科/小児外科)
  • 岡島 英明
    京都大学 外科(肝胆膵・移植外科/小児外科) 金沢医科大学 小児外科
  • 門久 政司
    京都大学 外科(肝胆膵・移植外科/小児外科)
  • 山本 美紀
    京都大学 外科(肝胆膵・移植外科/小児外科)
  • 上林 エレーナ幸江
    京都大学 外科(肝胆膵・移植外科/小児外科)
  • 小川 絵里
    京都大学 外科(肝胆膵・移植外科/小児外科)
  • 波多野 悦朗
    京都大学 外科(肝胆膵・移植外科/小児外科)

抄録

<p>[緒言] 昨年我々は、腸管不全関連肝障害(IFALD)を伴う小腸機能不全に対して、同一ドナーからの2臓器提供による肝小腸同時移植を行った。今回本症例を含めた当科における肝小腸移植4例の経過を提示し、その有効性を報告する。[症例1] 1歳女児。父親及び伯母からの肝小腸同時生体移植を施行。術後急性拒絶の加療中にPTLD(DLBCL)を発症し術後2ヶ月にて死亡。[症例2] 18歳男性。 17歳時に肝移植、9か月後に脳死小腸移植を施行するも栄養吸収不良からIFALDが再発し、小腸移植後21カ月目に脳死肝再移植となる。その後も脂肪性肝炎が継続し、小腸移植後5年8カ月後に肝腎不全にて死亡。[症例3]1歳女児。生後7ヶ月時に肝移植を施行し、1歳4か月時に脳死小腸移植を施行。術後3ヶ月時移植腸管を中心にPTLD(DLBCL)を発症し、グラフト摘出術を施行。IFALD再発の状態にある。[症例4] 2歳女児。ヒルシュスプルング病類縁疾患によるIFALDに対して同一脳死ドナーからの肝小腸同時移植施行。術後急性拒絶なし。術後5ヶ月にEBV陽性粘膜潰瘍を発症するもリツキサン療法にて寛解。[考察]同一ドナーからの肝小腸同時移植を受けた患児の経過は良好であり、本法はIFALDに対する根本的治療法となる事が期待される。しかしながら、脳死肝小腸移植は、肝腎移植や膵腎移植のように2臓器が優先的に使用できるシステムかないため、本邦では積極的な治療選択肢になり得ない事が問題である。今後の環境整備が望まれる。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s206_1-s206_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623768517504
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s206_1
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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