北米移植医療におけるナースの仕事 ー日本との違いー

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抄録

<p>メイヨークリニック・アリゾナでは年間約800件の臓器移植手術が実施されており、全米で屈指の臓器移植専門施設として機能している。メイヨークリニックのようなハイボリュームセンターにおける移植看護や教育システム、労働環境を通し、移植医療に携わる米国看護師の仕事において日本と異なる点を一部紹介する。米国には臓器移植医療を専門とする病棟が存在し、移植医療や看護に関して高い専門知識とスキルを持つ看護師が所属している。これらの臨床移植看護師は柔軟な教育システムの下で高度な専門性を確立・維持し、患者にとってベストな看護ケアを提供する為に臓器移植医療、看護に特化したトレーニングを受けている。加えて米国では充実した看護スタッフの配置が定着しており、施設によって異なるが移植病棟で看護師1人の担当患者数は2ー4人である。米国の臨床移植看護師は移植医療チームにおいて重要な一員であり、入院から退院に渡る一連の流れの中でレシピエントの術前術後のモニタリングと看護ケア、レシピエントと家族への教育や他職種との連携といった幅広い役割や責任を持ち、その専門性が多くの場で生かされる環境で働いている。日米相互の経験と知識を共有することでより効果的な臓器移植看護の提供が期待され、将来予測される日本の臓器移植実施件数の増加に伴った臨床移植看護師の役割の最適化と、更なるハイグレードな患者ケアの向上に貢献していくことが重要であろう。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s230_2-s230_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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