高校における臓器移植の授業の実態ー全高校を対象とした調査結果報告ー

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抄録

<p>【背景・目的】昨年報告した全中学校を対象とした調査では、移植医療が掲載されている道徳の教科書を採用している中学校の90.1%の教諭が授業を実施していた。中学校,高等学校,大学,社会人に至るまで連続的に,移植医療を通して生命について考える機会を提供するため、高校教諭への探索的な調査を行い、現状把握と今後の授業内容の可能性について明らかにすることを目的とした。【方法】全高校5,063校の社会科高校教諭を対象とした定量調査を実施した。各校にダイレクトメールを送り,書面中のリンクからweb調査に回答していただく形式とした。調査項目は,授業実施状況,授業実施への不安、今後の授業の工夫、意思表示段階、臓器提供へのイメージなどである。分析にはSPSS用いた。【結果と考察】回答者の意思表示率は32.5%、家族との対話率は49.2%であった。生命の尊重に関連する授業の実施率は67.8%、移植医療に関する授業の実施率は53.4%であった。授業実施の場面については、「現代社会」の生命倫理が多く、代理出産、出生前診断、尊厳死と安楽死などのテーマとともに扱われていた。臓器提供を是としないように留意することを含め、どの程度踏み込んだ授業にすべきかについて不安をもつ教諭が多かった。多様な立場で自分ゴトとして考えることを促す授業が望まれおり、それを支援するような補助教材の開発などが今後必要であると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s251_3-s251_3, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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