先天性門脈体循環短絡に対する肝移植時門脈再建方法の検討

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抄録

<p>【背景】先天性門脈体循環短絡(CPSS)は,先天的な門脈低形成,欠損により,肝性脳症,肝肺症候群・肺高血圧症などが発症し,肝移植適応となる.欠損した門脈の再建が重要であり,当院で経験したCPSSの門脈再建方法を後方視的に検討した.【対象と方法】 2005年11月から2023年5月に当院で初回肝移植を施行した778例のうち,CPSSに対して肝移植を施行した8例を後方視的に検討した.【結果】移植時平均年齢は5歳,性別は男児4例女児4例,移植適応は肝肺症候群4例,高アンモニア血症2例,切除不能肝腫瘍併発2例であった.門脈再建方法は3例がシャント血管を直接吻合,3例がドナー卵巣静脈又はレシピエント外腸骨静脈を間置してシャント血管と吻合,1例が発達した左胃静脈と吻合,1例が下腸間膜静脈グラフト間置によるreno-portal shuntであった.外腸骨静脈を使用した症例及び下腸間膜静脈グラフトを使用した症例で術後1週目と4ヶ月目に,門脈狭窄に対して経皮経肝門脈形成術施行した.卵巣静脈使用した1例では術後門脈血流低下を認め,追加の側副血行路結紮を施行した.【考察・結語】CPSSに対する門脈再建は血管走行の多様性及びシャント血管の脆弱性から,吻合に工夫が必要である.術後潜在的な側副血行路が健在化することもあり,入念な術前評価や特にグラフト間置した症例では慎重なフォローアップが必要である.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s277_2-s277_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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