高齢肝移植レシピエントの短期予後検討

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抄録

<p>(目的)平均寿命の延長に伴い肝移植レシピエントの高齢化が進み、高齢レシピエントの短期成績を再検討する必要がある。(方法)1991年以降の生体・脳死肝移植レシピエント309例のうち、65歳以上(52例)を高齢レシピエントとし、64歳以下(257例)と短期成績を比較検討した。(結果)患者背景は65歳以上では女性レシピエント割合が有意に高かった。その他の背景(ドナー年齢、ドナー性別、生体/脳死、原疾患、血液型不適合、MELD、Child-pugh分類、GRWR、手術時間、出血量)に差はなかった。両群の短期成績は同等であった。短期成績のリスク因子をCox回帰分析すると64歳以下は生体/脳死、ドナー年齢が有意なリスクとなったが、65歳以上では有意なリスクは検出されなかった。年齢に注目するとレシピエントとドナーの関係は4群に分類された:1群:レシピエント年齢>ドナー年齢(子、姪、甥) / 2群:同年代(兄弟、姉妹、夫婦)/ 3群:レシピエント年齢<ドナー年齢(親) / 4群:脳死ドナー。1群は他群に比べ、ドナー年齢が有意に低く、65歳以上の高齢レシピエントは1群に属する症例が有意に多かった。1群と4群(脳死ドナー)の予後は同等で、これらの群は2群/3群に比べて有意に生存率が高かった。(考察)生体肝移植ではドナー年齢が移植成績に有意に影響していた。高齢レシピエントはドナー年齢が低い子/姪/甥がドナーとなるケースが多く、治療成績は若年レシピエントと同等であった。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s280_2-s280_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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