移植後腎代替療法選択時の認定レシピエント移植コーディネーターの役割

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抄録

<p>【目的】移植後腎代替療法(RRT)選択における認定レシピエント移植コーディネーター(RTC)の役割を検討する。【方法】カルテより経過およびRTCの介入、患者の反応を振り返る。【結果】30代男性、10代で腹膜透析、血液透析を経て父親をドナーとする生体腎移植術を施行した。RRT提示後、二次移植の準備を開始したが、その後治療拒否に至った。そこで、臨床倫理の4分割法での分析を基に面談を行った。患者は、移植をした自分、RRTを選択することは「普通ではない」と感じていた。家族は、患者がRRTを選択することに一縷の望みを抱いていたが、患者の意向は一貫しており、最終的には患者の意向を尊重し、保存期管理と並行して終末期に向けての準備も進めた。【考察】本症例は、小児期の病体験を受容しきれないままRRT再選択の局面を迎え、過去の体験や経過が患者の意思決定に否定的な影響を及ぼしたと推察される。そして青年期である患者がRRTを希望しなかったことで、家族や医療者に葛藤が生じたと考える。小児期の移植は、成人医療への移行や長期療養による医師やRTCの交代を伴うため、継続介入が容易ではない。そのため、RTCは面談を通して病体験や初回移植時の意思決定、受容状況を知り家族も含めた介入を行うことが重要であると考える。また医療者以外に相談をできる存在として、患者が希望する場合には、同じ境遇の人と関わる機会を設けることもRTCの役割のひとつであると考える。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s287_1-s287_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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