心臓移植時の腎機能低下とその後の移植後予後、腎機能との関連

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抄録

<p>【目的】本邦における心臓移植時の腎機能低下と移植後の予後や腎機能の関連を明らかにする。【方法】国立循環器病研究センターと大阪大学医学部附属病院で1999年1月1日から2017年12月31日までに心臓移植術を施行した18歳以上の191症例を対象とした。腎機能低下は移植時の推算糸球体濾過量(eGFR)<60 mL/min/1.73m2とした。【結果】腎機能低下群は191例中50例(26.2%)であり、平均eGFR 45.3±9.2 mL/min/1.73m2、腎機能正常群の平均eGFR 96.3±46.3 mL/min/1.73m2であった。2群の移植時年齢は腎機能低下群で平均48.8±11.1歳であり、腎機能正常群の平均36.5±12.3歳と比較して有意に高かった(p値<0.001)。移植後5年目までに11症例が死亡しており、腎機能低下群で7例(14%)と腎機能正常群の4例(2.8%)と比較して有意に多かった(p値=0.01)。5年後に生存していた症例の腎機能は腎機能低下群で平均eGFR 51.7±17.7 mL/min/1.73m2であり、腎機能正常群の平均eGFR 77.1±38.1 mL/min/1.73m2と比較して低値であった。全観察期間(平均10.1年)での全死亡は22症例であり、腎機能低下群で13例(26%)と腎機能正常群の9例(6.4%)と比較して有意に多かった(p値=0.001)。【考察】心臓移植時の腎機能低下は移植後予後を悪化させた。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s300_1-s300_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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