腎採取に腎結石を摘出し移植した生体腎移植の3症例

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抄録

<p>【症例1】70歳女性、慢性糸球体腎炎のため透析導入した息子に対する腎提供。左完全重複腎盂尿管、右腎結石(3mm)を認めた。腹腔鏡下右ドナー腎採取術を施行(温阻血時間8分)。腎臓を灌流後にベンチで氷冷下に7.5Frの軟性尿管鏡を使用し下腎杯に灰白色の結石を認め把持鉗子にて摘出した。尿管鏡操作は3分。術後腎機能は血清クレアチニン2mg/dl程度で安定している。【症例2】63歳女性、多発性嚢胞腎のため透析導入した息子に対する腎提供。術前のCTで左腎結石(3mm)を認めたが尿管鏡で摘出可能と判断して腹腔鏡下左ドナー腎採取術を施行(温阻血時間5分)。腎臓を灌流後に軟性尿管鏡で腎盂内を確認。上腎杯に黒色結石を認めたため把持鉗子にて摘出。尿管鏡操作は3分。術後経過は安定しており血清クレアチニン1.7mg/dlと安定している。【症例3】48歳女性、腎硬化症による腎不全のため維持透析中の夫への腎提供。術前CTで左腎結石(2mm)を認めた。腎採取(温阻血時間5分)、灌流後に軟性尿管鏡で腎盂内を確認。黒色の結石を認め、把持鉗子にて摘出。尿管鏡操作は4分。術後経過はCr1.6mg/dlと安定している。【考察】ドナー候補に腎結石を認める場合、適応外となることもあるがドナーが限られる場合は治療をどのタイミングでおこなうかが問題となる。ベンチでの軟性尿管鏡による治療は低侵襲で視野も良好で安全に施行が可能であり有用であった。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s306_1-s306_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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