メチルマロン酸血症による代謝不全を契機に肝細胞癌が判明し生体肝移植を施行した1例

DOI
  • 出口 晴教
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 清水 誠一
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 中尾 俊雅
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 兒玉 匡
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 小峰 竜二
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 柳 佑典
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 内田 孟
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター

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抄録

<p>【背景】メチルマロン酸血症(MMA)による代謝不全に対して,肝移植による酵素補充療法が有用である.また,頻度は少ないがMMAに肝腫瘍を合併することが報告されている.今回, MMAによる代謝不全治療中に肝腫瘍が判明し生体肝移植(LDLT)を施行した一例を経験したため報告する.【症例】25歳男性.生後7か月に精神運動発達遅滞と成長障害を認め,精査にてMMAと診断された.徐々に腎機能低下を認め,19歳時に末期腎不全に対して生体腎移植を施行した.その後も代謝不全に対する入院加療を要することがあった.24歳時に新型コロナウイルス感染を契機に重篤な代謝不全を呈し集中治療管理を行った.その際に,腹部画像検査にて肝右葉に10cm大の腫瘍性病変が判明し,AFP176,000ng/mlと上昇しており,肝芽腫・肝細胞癌が疑われた.肝右葉切除術にて腫瘍病変の摘出は可能と考えられたが,手術侵襲・残肝予備能低下に伴う周術期の代謝不全のリスクを考慮し,肝移植の方針とした. LDLT(左葉グラフト,GRWR1.24%)施行し,術後経過良好で術後48日に退院となった.摘出肝病理組織検査では中分化型肝細胞癌で,門脈第1分枝浸潤(Vp3)を認めた.現在,術後3か月経過し,代謝不全は無く癌再発の兆候も認めていない.【結語】本症例を通して,MMA患者において定期的な肝腫瘍スクリーニング検査は早期診断に重要であり,代謝不全のリスクを考慮した肝腫瘍に対する治療選択の必要性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s322_1-s322_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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