先行的生体腎移植の術後心血管系イベントと予後の検討

DOI

この論文をさがす

抄録

<p>【目的】先行的腎移植 (PEKT; pre-emptive kidney transplantation) は非PEKTと比較して良好な生存率や生着率が報告されており、近年本邦でも増加傾向にある。そこで北東北4県の移植施設のPEKT症例における術後心血管系イベントと予後について検討した。【方法】北東北4県 (青森、秋田、岩手、山形) の移植施設で構築した「みちのく腎移植ネットワーク(MRTN)に登録された生体腎移植患者の症例640名(1998~2021年)を対象とした。患者をPEKT群と非PEKT群の2群に分け、両群の背景を評価した。また、2群間の術後心血管疾患発症率、脳卒中発症率、グラフト生着期間、全生存期間を比較検討した。移植直前の術前数回の血液透析はPEKTと判断した。【結果】640人中156人(24%)がPEKT群、484人(76%)が非PEKT群であった。年齢中央値はいずれも48歳で、非PEKT群の腎代替療法期間中央値は23ヶ月だった。PEKT群でリツキシマブとエベロリムスの使用が有意に多かった。術後脳心血管発症率はPEKT群で3.8%、非PEKT群で14%と非PEKT群で有意に高かった。多変量解析ではPEKTは術後脳心血管発症の有意な独立因子であった(P=0.045, HR 0.42)。しかし、2群間のグラフト生着期間、全生存期間に有意差はなかった。【考察】PEKT群で非PEKT群と比較して、グラフト生着期間と全生存期間に有意差はなかったが、術後心血管発症率は有意に低かった。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s334_1-s334_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ