地域における減塩食品の入手可能性を評価するための調査方法の開発

書誌事項

タイトル別名
  • Development of a new method for assessing the availability of low-sodium foods in Japan

抄録

<p>目的 地域における減塩のための食環境整備においては,住民の減塩食品の入手可能性を把握し,その改善や活用の支援が必要である。しかし,その食環境アセスメント手法はまだ確立されていない。本報告では,地域における減塩食品提供状況調査方法の検討を行い,共通の方法と基準,実践のための手段を設け,全国で使用できるように標準化することを目的とした。</p><p>方法 厚生労働省・経済産業省による大規模実証事業への協力と取扱商品リスト等情報提供の合意が得られた北九州市の全国規模の4店舗において,減塩食品提供状況の予備調査を行った。まず,店頭で調査員が直接調査して収集した店頭調査リストと,店舗から提供された取扱商品リスト(以下,店舗提供リスト)を比較,分析して,両調査の課題を抽出し,実施可能性と的確性を検討した。次に,予備調査で課題となった減塩食品の定義を明確にし,減塩食品分類基準を設定し,店頭調査の目安になる調査用減塩食品リストを作成した。また,店頭調査結果を記録するためのシートと調査用マニュアルを作成し,標準化を図った。そのマニュアルを用いて管理栄養士が店頭調査を行い,活用可能性を確認した。</p><p>結果 予備調査で,店頭調査リストの方が店舗提供リストより調査漏れが少なく,実施可能性が高いことがわかった。減塩食品の定義を明確にした上で,以下を作成した。①店頭での調査と購入のしやすさを考慮して減塩食品の分類基準(3つの大分類,7つの中分類,37の小分類)を設定し,減塩食品分類基準表を作成した。②調査結果を記録する調査用減塩食品リストを用いて,個々の減塩食品提供状況を詳細に記入する入力用基準シートと,減塩食品の入手可能性を定量的に記入する集計用シート,および店舗別提供状況の有無を見える化した掲示用シートを作成した。③調査の目的と考え方,減塩食品の定義と分類基準,記録用減塩食品リストのシートについて説明した調査マニュアルを作成した。管理栄養士が①~③を用いて店頭調査とデータ収集・整理を的確に行い,減塩食品の入手可能性の定量的把握と見える化が容易に行えることを確認した。</p><p>結論 減塩食品の入手可能性は,調査マニュアルと記録用シートを用いた店頭調査で,容易にまた的確に把握できることがわかった。この標準化された減塩食品提供状況調査は,地域の減塩対策において,食環境アセスメント手法の1つになり得ることが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623769710080
  • DOI
    10.11236/jph.23-094
  • ISSN
    21878986
    05461766
  • PubMed
    38556361
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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