本邦における脳性麻痺児に対するリハビリテーションの目標設定に関するアンケート調査

DOI
  • 大須田 祐亮
    北海道医療大学 リハビリテーション科学部 理学療法学科
  • 堀本 佳誉
    千葉県立保健医療大学 健康科学部 リハビリテーション学科
  • 杉本 路斗
    横浜療育医療センター リハビリテーション課
  • 佐藤 一成
    北海道医療大学 リハビリテーション科学部 理学療法学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p>子どもとその家族が重要と考える日常活動に参加できる動作戦略を考案するという考え方に基づいたリハビリテーションでは、療法士は子どもと家族と共同で目標を設定することが重要となる。しかし、臨床現場では目標設定の過程が一貫した方法で実施されていないことが指摘されている。そこで、本研究では脳性麻痺児に対するリハビリテーションの目標設定に関する調査を行い、実態を明らかにすることを目的とする。 </p> <p>【方法】</p> <p>小児関連施設に所属する理学療法士 (PT)、作業療法士 (OT)、言語聴覚士 (ST)を対象にアンケート調査を行った。聴 取内容は目標設定に関する教育経験、目標設定を行う際に使用している法則、統一された方法とマニュアルの有無、目標設定を行う際の評価尺度、目標設定に関する知識と実施に関する自信、目標設定に関与する人物、目標設定の共有とした。結果は単純集計およびクロス集計により分析を行った。抄録には文字数の関係上、単純集計の結果のみ記載した。 </p> <p>【結果】</p> <p>研究参加に同意が得られたのは23施設、167名の療法士 (PT 83名、OT 51名、ST 33名)であり、回答率は49.6%であった。養成校や卒後教育、職場での目標設定に関する教育経験があるとの回答は71%であった。使用している法則はSMARTが最も多く14%であった。病院内・施設内で統一された目標設定の方法とマニュアルやルールの有無に関してあると回答したのは共に8%であった。使用している評価尺度はGMFM 42%、 PEDI 16%、COPM 15%、GAS 7%であった。知識と実施に関する自信がないと答えたものはそれぞれ34%、28%であった。目標設定に関与する人物については母、本人、父の順で多く、それぞれ84%、75%、68%であった。また目標設定については同職場セラピストとの間で84%、医師や看護・介護職員との間 で89%が定期的または不定期であるが共有していると回答した。 </p> <p>【考察】</p> <p>子どもと家族が目標設定に関与していると回答した割合が高く、子どもと家族と共同で目標を設定していることが推測された。目標設定に関する養成校や卒後教育などでの教育経験の割合も高く、認識度も高いと考えられた。目標設定の過程が一貫した方法で実施されていない点は、先行研究と同様の結果であった。Novakらは子どもと親が協力して機能的な目標を設定する介入をGoal Directed Training (GDT)とし、推奨度の高さを報告している。GDTを実施する際の目標設定はSMARTに従うこと、GASを用いて評価してCOPMで本人と家族も満足度を調査することが推奨されている。これらの法則・評価を使用していると答えた割合も低かったことから、GDTを適切に実施していくためにも、卒前・卒後教育の中で、これらの法則・評価を一般的なものにしていく必要があると考えた。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究は、千葉県立保健医療大学倫理委員会の 承認を受け実施した (2022-04)。リハビリテーション部門責任者宛に本研究の説明文書を送付し、研究協力に同意する場合は、 Webにて同意をした旨と、施設情報 (各療法士数)を無記名で回答頂いた。同意が得られた施設のPT、OT、ST全員に説明文書 を回覧頂き、同意の得られた療法士には無記名でのWebベースのアンケートに回答して頂いた。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 123-123, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623770618112
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_123
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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